「不動産投資はインフレに強い」とよく言われます。
しかし、なぜ強いのか? どのように価値を評価するのか?を理解していないと、感覚的な投資に陥ってしまいます。
今回は、不動産の価値を理論的に測る「収益還元法」に注目します。
目次
不動産投資の基本
- 不動産=収益を生む資産(家賃収入・地代など)
- 投資家にとって重要なのは「いくらの収益が得られるか」
- 価格の評価方法は「収益力」を基準にするのが理論的
収益還元法とは?
- 定義:不動産が将来生み出す収益を、適切な利回りで割り引いて現在価値を求める方法
- 式:不動産価値 = 純収益(NOI) ÷ 還元利回り
例
- 年間純収益(NOI):500万円
- 還元利回り:5%
→ 不動産価値 = 500 ÷ 0.05 = 1億円
NOI(Net Operating Income:純収益)の考え方
- 総収入(家賃収入など)
- 運営費用(管理費、修繕費、税金など)
→ 差し引いた金額がNOI(純収益)
NOIは企業でいう「営業利益」に近い概念。投資判断の基礎となります。
還元利回り(Cap Rate)
- 不動産価値評価に使う割引率
- 市場の期待利回りや金利水準で変動
- 金利上昇時には還元利回りも上昇し、不動産価値は下落する傾向
実例:収益還元法の使い方
- 物件A:年間純収益 300万円、還元利回り 6%
→ 価値 = 300 ÷ 0.06 = 5,000万円 - 物件B:年間純収益 300万円、還元利回り 3%
→ 価値 = 300 ÷ 0.03 = 1億円
👉 同じ収益でも、利回り(リスク・市場評価)次第で価値が大きく変わる
投資家の視点
- 不動産はインフレ局面で価値が維持・上昇しやすい
- ただし、金利上昇により還元利回りが上がると、価格は下がる可能性もある
- 投資判断では「収益性 × 金利動向 × 市場リスク」をセットで考えることが重要
まとめ
- 不動産投資は「収益還元法」で価値を理論的に評価できる
- 収益力(NOI)と還元利回り(Cap Rate)が価格を決める
- インフレには比較的強いが、金利動向には注意が必要
理解度チェック(全3問)
Q1. 不動産価値を理論的に評価する方法として代表的なのは?
①過去の取引事例を参考にする方法
②収益還元法
③建築費の合計で算出する方法
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正解:②
収益還元法は、不動産が生み出す収益を基準に価値を求める方法です。
Q2. NOI(純収益)とは何を指しますか?
①家賃収入の総額
②家賃収入から運営費用を差し引いた収益
③売却益
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正解:②
NOIは「総収入 − 運営費用」で求める純収益です。
Q3. 金利が上昇すると、不動産価格はどうなりやすい?
①還元利回りが下がって価格が上がる
②還元利回りが上がって価格が下がる
③金利と不動産価格は無関係
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正解:②
金利が上昇すると還元利回りが高まり、現在価値としての不動産価格は下がりやすくなります。
次回予告
次回のテーマは 「第7回 暗号資産と通貨の未来」 です。
ビットコインやステーブルコインの仕組みを通じて、通貨と金融の新しい可能性を考えます。