株価が「上がった」「下がった」というニュースは日常的に流れています。
しかし、その裏で株価がどのように決まっているのかを理解している人は少ないかもしれません。
今回は「株式投資と企業価値評価」という視点から、株価の本質に迫ってみましょう。
目次
株式投資とは何か?
- 株式=企業の所有権の一部
- 株を持つことで得られる主なリターン
- 配当金(企業が利益を分配する)
- 株価上昇益(企業価値の向上に伴う)
株価を決める理論的要素
- 企業の将来キャッシュフロー
- 企業が将来生み出す利益(キャッシュフロー)が価値の源泉
- 割引率(資本コスト)
- 将来の利益を現在の価値に換算する際の基準
- 金利や投資家のリスク許容度が影響
- 市場心理
- 短期的には需給や期待感も大きな要素
代表的な指標:PERとPBR
- PER(株価収益率)
- 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
- 「株価が利益の何倍か」を表す
- 例:PER=15 → 利益の15年分で株価が形成されているイメージ
- PBR(株価純資産倍率)
- 株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)
- 「株価が純資産の何倍か」を表す
- 例:PBR=1 → 株価が帳簿上の純資産と一致
企業価値評価の基本:DCF法
- DCF(Discounted Cash Flow)法
- 将来のキャッシュフローを予測
- 割引率で現在価値に換算
- その合計が企業価値
- 株価は「企業価値 ÷ 発行株式数」で算出できる
ポイント
短期的な株価は市場心理で変動しますが、長期的にはキャッシュフローと資本コストで決まる、というのが投資理論の基礎です。
投資家の視点
- 短期:PERやPBRを参考に「割安株」を探す
- 長期:DCFなどで「企業の本質的価値」を見極める
- 実務的には:
- 指標を複数組み合わせる
- 他企業や市場平均と比較する
まとめ
- 株式=企業価値の一部を持つこと
- 株価は「将来キャッシュフロー ÷ 割引率」で理論的に決まる
- PER・PBRなどの指標は投資判断の手がかりになる
- 長期投資ではDCF的な発想が重要
理解度チェック(全3問)
Q1. PER(株価収益率)は何を表しますか?
①株価が利益の何倍か
②株価が純資産の何倍か
③株価が売上の何倍か
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正解:①
PERは「株価 ÷ 1株当たり利益」で算出され、株価が利益の何倍で評価されているかを示します。
Q2. DCF法とはどのような評価方法ですか?
①過去の株価から平均を出す方法
②将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて合計する方法
③株価を市場の平均と比較する方法
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正解:②
DCF法は将来のキャッシュフローを割引率で現在価値に直し、企業価値を算出する方法です。
Q3. 株価の理論的な決定要因で、最も重要なのはどれでしょうか?
①投資家の噂話
②将来キャッシュフローと資本コスト
③株主優待の内容
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正解:②
株価は本質的に、将来生み出す利益(キャッシュフロー)と、それを割り引く資本コストで決まります。
次回予告
次回のテーマは 「第5回 投資信託とETFの理論」 です。
分散投資の基本と、インデックス投資とアクティブ投資の違いを解説していきます。