「金利が上がったから株価が下がった」というニュースをよく耳にします。
しかし、なぜ金利と株価が逆の動きをするのか、理論的に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
投資を学ぶうえで「金利と資本コストの関係」を理解することは非常に重要です。
目次
金利と資本コストの基本
- 金利:お金を借りるコストであり、資産を運用するリターンの基準
- 資本コスト:投資家が求める最低限のリターン(割引率)
つまり、金利が上がると「資本コスト」も上昇し、将来得られるキャッシュフローの現在価値が下がるため、株価や不動産価格が下がりやすくなります。
お金の時間価値と割引現在価値
投資理論では 「お金には時間的な価値がある」 と考えます。
- 今の100万円と10年後の100万円は価値が違う
- 将来の100万円を「今の価値に割り引いて考える」のがDCF(割引キャッシュフロー法)
例
- 将来得られる100万円
- 割引率(金利)が2%の場合 → 現在価値は約82万円
- 割引率が5%に上昇すると → 現在価値は約61万円
金利が高くなると、未来のお金の価値が小さく見積もられるため、株価も下がるのです。
歴史に見る金利と株価
- 米国1980年代:ボルカーFRB議長の大幅利上げで株価は低迷
- 日本のバブル期(1989年頃):公定歩合引き上げで株価・不動産価格が急落
- 近年のFRB利上げ(2022年以降):金利上昇がハイテク株の下落を招いた
投資家の視点:金利をどう読むか
- 金利は「株式・債券・不動産すべての基準」
- 低金利時代:リスク資産に資金が流れやすい
- 高金利時代:安全資産(預金・国債)が有利になり、株式は割高に見える
投資家は 「金利動向=市場の温度計」 として常に注目すべきです。
まとめ
- 金利は「お金の価格」であり、資本コストの基準になる
- 金利上昇は株価や不動産価格を押し下げる要因
- 投資判断において「割引現在価値」を理解することが重要
理解度チェック(全3問)
Q1. 金利が上がると株価が下がりやすい理由は?
①将来キャッシュフローの現在価値が下がるから
②投資家が株を嫌いになるから
③証券会社の手数料が上がるから
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正解:①
金利上昇 → 割引率上昇 → 未来の価値が小さくなる → 株価下落につながります。
Q2. 割引現在価値(DCF)とは何を意味しますか?
①将来のお金を今の価値に換算すること
②今のお金を将来の価値に換算すること
③株の割引セール価格
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正解:①
DCF(Discounted Cash Flow)は、将来のお金を割り引いて現在の価値を算出する手法です。
Q3. 高金利時代に投資家が好む傾向のある資産は?
①株式や不動産
②預金や国債などの安全資産
③ビットコインなどの暗号資産
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正解:②
高金利時代は安全資産の利回りが魅力的になり、リスク資産から資金が流出しやすい傾向があります。
次回予告
次回のテーマは 「第3回 為替と購買力平価の仕組み」 です。
円安・円高の理論的な背景を学びながら、投資や生活にどう影響するのかを解説していきます。