暗号資産と聞くと、多くの人は「価格変動が激しい」というイメージを持つでしょう。
しかし、その中で 価格を安定させることを目的に設計された通貨 が存在します。それが「ステーブルコイン」です。
近年、ステーブルコインは国際送金やDeFi(分散型金融)、さらには各国の金融規制の議論において重要な役割を担っており、市場価値も急速に拡大しています。
本記事では、ステーブルコインの基本から市場規模、そして今後の展望について解説します。
目次
ステーブルコインとは?
定義
- 法定通貨や資産に価値を裏付けられた暗号資産。
- 価格の安定性を保つことを目的に設計。
代表的な種類
- 法定通貨担保型
- 米ドルや円などの法定通貨に裏付けられる(例:USDT、USDC)。
- 暗号資産担保型
- イーサリアムなどを担保に発行(例:DAI)。
- 無担保(アルゴリズム)型
- プログラムによる供給調整で価格を維持(例:UST、ただし破綻例あり)。
ステーブルコインの市場価値
急速な拡大
- 2020年以降、DeFiの成長とともに需要が急増。
- 国際送金や取引所での基軸通貨として広く利用される。
- 2024年時点で、ステーブルコインの総発行残高は 1000億ドル(約15兆円)規模 に達しているとされる。
主な銘柄とシェア
- テザー(USDT):市場シェアNo.1。取引量の多さで圧倒的存在感。
- USDコイン(USDC):米Circle社が発行。透明性を重視。
- DAI:分散型の担保型ステーブルコイン。DeFiで広く利用。
市場価値が高まる理由
1. 価格安定性
- ビットコインやイーサリアムのような価格変動リスクを回避できる。
- 投資家にとって「安全な避難先」として機能。
2. 国際送金での利便性
- 銀行を通さずに数分で送金可能。
- 低コストでの国際送金手段として利用価値が高い。
3. DeFiの基盤
- ステーブルコインはレンディングやステーキングの中心的な役割を果たす。
- 「暗号資産経済のドル」とも呼ばれる存在。
4. 規制と承認の動き
- 日本を含む各国でステーブルコインの法的整備が進み、金融システムに組み込まれつつある。
リスクと課題
発行体リスク
- USDT(テザー)は担保の透明性を巡りたびたび批判されてきた。
- 信頼性が市場価値に直結する。
規制強化の懸念
- ステーブルコインは金融システムに影響力を持ち始めており、各国の規制対象となる可能性が高い。
アルゴリズム型の失敗
- 2022年、UST(TerraUSD)が崩壊し、ステーブルコイン市場に大きな衝撃を与えた。
- 無担保型はリスクが高く、今後は担保型が主流になると予想される。
今後の展望
CBDCとの関係
- 各国が進める 中央銀行デジタル通貨(CBDC) との競合または共存が議論されている。
- ステーブルコインは民間主導、CBDCは国家主導という立場の違いがある。
日本市場での展望
- 2023年にステーブルコインが法的に承認され、日本国内でも銀行発行型が登場予定。
- 円建てステーブルコインの登場により、企業や個人の利用機会が拡大する可能性。
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まとめ
- ステーブルコインは「安定性」を重視した暗号資産であり、急速に市場価値を高めている。
- 取引・送金・DeFiなどの基盤として暗号資産経済を支える存在。
- ただし発行体リスクや規制動向には注意が必要。
- 今後はCBDCとの関係性も含め、暗号資産と金融の橋渡し役としてますます重要性を増していくでしょう。