「卵は一つのカゴに盛るな」――投資の世界ではよく聞く言葉です。
これは単なる格言ではなく、現代ポートフォリオ理論(MPT)という学問的な裏付けがあります。
今回は、投資の最終テーマとして「分散投資とリスク管理」を学んでいきましょう。
目次
リスクとリターンの関係
- リターン:投資による収益(利益)
- リスク:リターンのブレ(不確実性)
- 高リターンを狙えばリスクも高くなるのが基本原則
例
- 預金:リスク小、リターン小
- 株式:リスク大、リターン大
- 債券:株式よりリスク小、リターン中
ポートフォリオ理論(MPT)
ハリー・マーコビッツが提唱した理論。
- 複数の資産を組み合わせることで、全体のリスクを下げられる
- 異なる動きをする資産を混ぜると「値動きが打ち消し合う」効果がある
例
- 株式と債券を半分ずつ持つ
→ 株が下がっても債券が上がることで、全体の損失を抑えられる
相関係数の重要性
- 資産間の動きの連動度合いを示す指標
- 相関係数が低い(あるいはマイナス)の資産を組み合わせると、分散効果が高い
例
- 株式と国債:相関が低い
- 株式とREIT:相関が比較的高い
- 金やコモディティは株と逆の動きをすることが多い
リスク管理の具体的手法
- アセットアロケーション
株式・債券・不動産・コモディティなどの配分を決めること - リバランス
時間が経つと資産配分が崩れるので、定期的に調整する - 自分のリスク許容度を知る
年齢・収入・投資経験によって適切なリスクは異なる
投資家の視点
- 分散投資は「利益を最大化するため」ではなく「損失をコントロールするため」
- 長期的にはリスクを抑えた方が複利効果が活きる
- 「欲に流されず、ルールで投資を続けること」が最大のリスク管理
まとめ
- 投資にはリスクとリターンのトレードオフがある
- ポートフォリオ理論は分散投資の学問的な裏付け
- 相関の低い資産を組み合わせることでリスクを下げられる
- アセットアロケーションとリバランスが長期投資のカギ
理解度チェック(全3問)
Q1. 投資における「リスク」とは何を意味しますか?
①必ず損をすること
②価格変動の大きさ(不確実性)
③詐欺に遭うこと
解答を見る
正解:②
リスクは「損すること」ではなく「リターンのブレ(不確実性)」を意味します。
Q2. ポートフォリオ理論の基本的な考え方は?
①株式だけを集中投資する
②複数資産を組み合わせると全体のリスクが下がる
③金利が高いときは債券は無意味
解答を見る
正解:②
ポートフォリオ理論は「分散することでリスクを低減できる」という考え方です。
Q3. 分散投資で重要な指標は?
①相関係数
②GDP成長率
③為替レート
解答を見る
正解:①
相関係数が低い資産を組み合わせることで、分散効果が最大化されます。
次回予告
この「投資IQアップ講座」シリーズは今回で一区切りとなります。
今後は応用編として、実際のニュースや金融市場の動きを題材に「投資理論をどう活かすか」を解説していく予定です。