目次
はじめに
ビットコインに次ぐ代表的な暗号資産「イーサリアム(Ethereum)」。
単なるデジタル通貨にとどまらず、ブロックチェーン上で多様なアプリケーションを動かせる革新的なプラットフォームとして誕生しました。
現在では「AIコイン」とも呼ばれ、人工知能との親和性が注目されています。
本記事では、イーサリアムの誕生から現在までの歴史、そして「AIコイン」と呼ばれる所以を解説します。
イーサリアムの誕生
創設者ヴィタリック・ブテリン
- カナダ在住のロシア系プログラマー ヴィタリック・ブテリン が2013年に構想を発表。
- ビットコインの技術をベースにしつつ「通貨だけでなくアプリも動かせるブロックチェーン」を目指しました。
ホワイトペーパーと資金調達
- 2014年にホワイトペーパーを公開。
- 同年、ビットコイン建てのクラウドファンディング(ICO)で約1,800万ドルを調達。
- このICOは暗号資産業界初期の大規模資金調達の成功例となりました。
イーサリアムの正式リリース
- 2015年、「フロンティア」と呼ばれる最初のネットワークが稼働。
- この瞬間から、イーサリアムは「分散型アプリケーション(DApps)」を実行できる基盤として世界中の開発者に利用され始めました。
イーサリアムの進化と歴史的転換点
DAO事件(2016年)
- 「分散型自律組織(DAO)」がイーサリアム上で世界的に注目を集めるも、ハッキング事件で多額のETHが流出。
- これを受けて ハードフォーク が行われ、現在の「Ethereum」と「Ethereum Classic」に分裂しました。
ICOブーム(2017年)
- イーサリアムを活用したトークン発行(ERC-20規格)が普及。
- 世界中でICO(Initial Coin Offering)が乱立し、資金調達手段として一大ブームを巻き起こしました。
DeFiとNFTの台頭(2020年~)
- DeFi(分散型金融) では、貸付・取引・ステーキングなどがスマートコントラクトで実現。
- NFT(非代替性トークン) もイーサリアムを中心に拡大し、アートやゲーム、メタバース経済の基盤となりました。
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DeFiとは?
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Ethereum 2.0への移行(2022年)
- 2022年、PoW(Proof of Work)からPoS(Proof of Stake)への大規模アップデート「The Merge」が実施。
- 環境負荷を大幅に削減し、スケーラビリティとセキュリティの強化を実現しました。
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なぜ「AIコイン」と呼ばれるのか?
スマートコントラクトとAIの親和性
- イーサリアムは「契約を自動執行するスマートコントラクト」が最大の特徴。
- この自動執行プロセスがAI技術と結びつき、AIエージェントがブロックチェーン上で取引や意思決定を行う基盤 として期待されています。
AI関連プロジェクトの多さ
- SingularityNET(AIサービスの分散型マーケットプレイス)
- Fetch.AI(自律エージェントの経済圏)
- Ocean Protocol(AI向けデータ取引プラットフォーム)
→ これら多くのプロジェクトがイーサリアムやその互換チェーン上で展開されているため、「AIコイン」と呼ばれるようになりました。
Web3×AI時代の基盤
- ChatGPTをはじめとする生成AIの普及により、AIとブロックチェーンの連携ニーズが急増。
- イーサリアムはその標準的プラットフォームとして、AI社会に欠かせないインフラになりつつあります。
現在と今後の展望
現在の位置づけ
- ビットコインが「デジタルゴールド」なら、イーサリアムは「分散型アプリのOS」とも呼べる存在。
- 金融・ゲーム・アート・AIなど、多岐にわたる分野で実用化が進んでいます。
今後の課題
- トランザクション手数料(ガス代)の高さ
- スケーラビリティ(取引速度)の改善
- 競合チェーン(Solana、Avalancheなど)とのシェア争い
将来像
- イーサリアムは 「AIが経済活動を行うための標準ブロックチェーン」 という地位を築く可能性があります。
- Web3とAIの融合が進む中で、その存在感はますます強まるでしょう。
まとめ
- イーサリアムは2015年に誕生し、DAO事件、ICOブーム、DeFiやNFTの拡大、PoS移行などを経て進化してきた。
- スマートコントラクトにより「AIと相性の良いブロックチェーン」として評価され、「AIコイン」とも呼ばれる。
- 今後、AIとWeb3が融合する時代において、イーサリアムは中核的役割を担う可能性が高い。